漫画「スラムダンク」の作者・井上雄彦さん(52)とバスケット選手の対談企画の第3シーズン8回目は、Bリーグを連覇したアルバルク東京(A東京)の司令塔、安藤誓哉選手(26)です。
単身で海外 失うものなかった 誰よりもひたむきに練習
井上 千葉とのチャンピオンシップ決勝では、トラブルに見舞われたとか。
安藤 決勝戦前日の朝から体調が悪くて、嘔吐と下痢に襲われました。熱も37度台の後半まで上がり、病院へ。3時間ほど点滴を受けました。
井上 決勝では9得点、3アシスト。ミスで相手にボールを渡してしまうターンオーバーは1度もありませんでした。
安藤 実は、第1クオーターの最後には、利き腕である右手の薬指を脱臼してしまいました。得点はすべて脱臼後。アドレナリンってすごいですね。
井上 大学4年で部活をやめ単身で海外へ。米国の独立リーグ、カナダ、フィリピンを渡り歩いたと聞きました。
安藤 若気の至り、みたいなものです。失うものが何もありませんでしたから。
井上 カナダのバスケットはどんなものでしたか。
安藤 選手はほぼ米国人で、レベルは高かったです。展開の速さが特徴で、1チームが120~130点取る試合もよくありました。
井上 そこで主力として活躍していたとか。
安藤 ベテラン選手の方がうまかったのに、当時のヘッドコーチは僕のことを使い続けてくれました。練習は、誰よりもひたむきにやっていた自信があります。その姿を見ていてくれたのだと思います。
アルバルク東京 安藤誓哉選手 × 漫画家 井上雄彦さん
朝日新聞/2019/05/29/日付より